メエルーンズのカミソリを誰にも使わせないと決めたメアリ。ウィンドヘルム在住のアルゴニアン、シャーヴィーの依頼でロストナイフ洞窟へ向かう。
メアリとアンは洞窟へを目指し夜の街道を歩いていた。すると闇の中からアルゴニアンの暗殺者が襲いかかって来た。
メアリ
「何なの!この人!」
アルゴニアンの暗殺者
「死んでもらう!」
アン
「メアリ!コイツは手練れだ!やらなきゃやられるよ!」
二人で協力し暗殺者を倒す。野盗ではなく暗殺者というからには何者かがメアリの暗殺を目論んでいるという事になる。なぜ襲われたのかはわからずじまいだったが、二人は嫌な予感を感じ急いで盗賊のアジトへ向かった。
メアリ達は初めは慎重に進んでいたものの、盗賊達の力量がわかると一気に攻め込んだ。
あまり戦闘経験が豊富でないのか、二人の敵では無かった。シャーヴィーのアミュレットを取り返した二人は洞窟を後にする。
すっかり夜が明けていた。
あまり戦闘経験が豊富でないのか、二人の敵では無かった。シャーヴィーのアミュレットを取り返した二人は洞窟を後にする。
すっかり夜が明けていた。
メアリ
「シャーヴィーさん喜んでくれるかなぁ。手に入ったのが硬貨ばっかりで宝石が無かったのが不満だけど。イング今頃怒ってるだろなぁ。」
アン
「今の戦闘で多少はカネも手に入ったし、収入さえあればイングも文句は無いんじゃない?それより昨日の暗殺者が気になる。船へ急ごう。」
メアリ
「うん。そうだね。」
二人は早朝の森を駆け出した。睡眠をとっていない疲労はあるが、それよりも船に残してきた二人が気掛かりだった。アルゴニアンの暗殺者を仕向けたのは一体何者なのか。
時は少しさかのぼる。二人が暗殺者と戦っている頃、ノーザンカーディナル号ではエリザベスとインガルスが今後の航海について話しをしていた。
インガルス
「全く!メアリのお節介とワガママには付き合いきれねぇよ。最初からあいつはああだったのか?」
エリザ
「そうですね。でも何というかほっとけなくて。私とアニーがこの船のクルーになるって決めたのも、メアリのお節介がキッカケだったんですよ。」
インガルス
「でもよ、メアリやアニーはともかくお前は海賊ってガラじゃないよな。抵抗は無かったのか?元吟遊詩人だったんだろ?」
エリザベス
「今も吟遊詩人です!イングは勘違いしてるようですが、私たち海賊を名乗った覚えは無いですよ?あくまで亡霊の海を冒険したかっただけです。一冒険者として。」
インガルス
「そうなのか!?俺はてっきり海賊として亡霊の海を征覇したいのかと...。だが肩書きなんて関係ないよな。目指すはシルバーの財宝だ!」
ガタッ!
インガルス、エリザベス
「!!」
エリザ
「今なにか......メアリ達でしょうか?」
インガルス
「いや、早すぎる。お前は船室にいろ。合図をするまで出てくるなよ。」
インガルスは警戒しつつ甲板に出た。深夜だけあり、周囲に人影はなく辺りは静まり返っている。穏やかな波の音だけがオーロラが照らすウインドヘルムの夜に響く。
インガルス
(当直の衛兵でも無いか。休憩時間か、それともサボってやがるのか)
辺りを見回し船室に戻ろうとした瞬間、背後に気配を感じとっさに回避行動をとった。左肩から鮮血がしたたる。
インガルス
「お前ら何もんだ....!(。アルゴニアン...水中から乗り込んできたか。しかも背後に立たれるまで全く気づかなかった!)」
アルゴニアン
「メエルーンズのカミソリを渡して貰おう。命がおしくばな。」
インガルス
「何のことだよ。(四人か....マズイな。)
アルゴニアン
「....やれ」
その掛け声と共に一斉に襲いかかって来た。統率のとれたコンビネーション。インガルスはなす術なくダメージを負わされていく。
アルゴニアン
「そろそろ吐いたらどうだ。この船にあるのはわかってるんだ。」
程なくインガルスは戦闘不能になっていた。必死の抵抗により四人の刺客のうち一人を倒したが流石に分が悪い。
インガルス
「ゴホッ!知らねえよ。殺すならとっとと殺せ。お前らはありもしねえモンを一生探してろ。」
アルゴニアン
「我々には拷問の趣味も時間も無い。協力を拒むなら死あるのみだ。」
インガルス
(マズイぞ...船室にはエリザがいるってのに!)
その時船室の扉が開きエリザが飛び出しインガルスの前に立った。彼を庇うエリザの目は今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
エリザベス
「お願いします!言う通りにしますから命は助けて下さい!」
アルゴニアン
「ならばカミソリを渡せ。そうすれば助けてやる。」
エリザベス
「約束...ですよ?イング、カミソリを渡してください。」
インガルス
「く....クソ!!」
インガルスはこのアルゴニアン達が約束を守る気など全く無い事ことを理解していた。たが抵抗しても殺されることには変わりはない。せめてエリザベスだけでも逃がせていたら.....。
この状況をどうにも出来ない上に、メアリから預かっているカミソリを奪われてしまう己の不甲斐なさに苛立ちを隠せなかった。隠し持っていたメエルーンズのカミソリをアルゴニアンの足元にぶっきらぼうに投げつけた。
アルゴニアン
「受け取った。だが先ほどの約束あれはウソだ。この事を知る輩は皆殺しにせよという命令だ。」
アルゴニアンは悪意のある笑みを浮かべ武器を構える。
エリザ
「そんな!!」
インガルス
「命令だと!?誰からだ!!誰がお前らに依頼したんだ!!」
アルゴニアンが約束をすぐに反故にしたのは想定内だったが、インガルスはこの襲撃を指示した者がいることのほうが気になった。
しかし当然インガルスの問いの答えは返ってこない。アルゴニアン達は無慈悲に武器を振り下ろす。
アルゴニアン
「待て!誰か来る....。」
ギシッギシッと桟橋を軋ませ足音が近づいてくる。その場にいる全員が足音の正体に意識を向けた瞬間...
ダンッッッ!!!
勢い良く白い影が飛び出し、甲板に着地した。
インガルス
(桟橋からジャンプして来た!?いや船体を駆け上がって来たのか!)
その者の正体は屈強な肉体のカジートだった。神秘的な白銀の体毛と雄々しいタテガミを持つ彼の姿に一同は目を奪われた。
白いカジートは辺りを見回し状況を確認しているようだ。傷だらけのノルド、怯えるブレトン、それを取り囲むアルゴニアン達。この状況を見れば誰でも大体の事情はのみ込めるだろう。
???
「不躾に乗り込んですまない。深夜の港で何の騒ぎかと思い来たのだが....思ったより深刻な状況のようだ。」
エリザベス
「逃げて!あなたまで巻き込まれる!」
アルゴニアン
「仲間がいたのか?むざむざ出てくるとは....間抜けな奴だ!この場を見たからには生かしてはおけん!」
アルゴニアン達は標的を白いカジートに変更し襲いかかる。
白いカジート
「私は通りがかっただけだ。彼らの仲間ではないが、お前達は私の敵のようだな。」
両手にハンドアックスを構える白いカジート。さっきまでの落ち着いた雰囲気とはうって変わり凄まじい気迫だ。
ドカッ!!
一番に仕掛けたアルゴニアンが脳天を割られる。ダガーのガードなどお構いなしに振り下ろされる力まかせな攻撃。その一撃は他のアルゴニアン達を怯ませるのに十分な威力があった。
アルゴニアン
「に、逃げ...ぐわ!!」
残った二人のアルゴニアンは直ぐさま踵を返す。振り向きざまハンドアックスの投擲を受け一人は絶命したが、リーダー格と思しき者は紙一重で致命傷を避けた。
白いカジートは直ぐさま最後に残ったアルゴニアンとの距離を詰めたが、間一髪アルゴニアンは海へ飛び込んだ。
ナイトアイが使えるカジートとはいえ海中に逃げられてはどうしようもない。そもそも彼は火の粉を払っただけであり、逃げていく者はもはや敵ではないのだ。
白いカジート
「一人仕留め損なったか。」
あっという間の出来事にエリザベスは言葉を失っていた。
インガルス
「強い...俺やメアリのような目的に付随する強さではなく...純粋な...目の前の敵を殺すための強さ!」
白いカジート
「立てるか?余計なお世話だったかな?」
白いカジートとは穏やかな口調で手を差し伸べた。
エリザベス
「い、いえ!ど、どうもありがとうございました!」
インガルス
「あんたが何者かは知らないが命を助けてもらったのは事実。礼を言うぜ。それに比べて俺は...」
エリザベス
「気にしないで。メエルーンズのカミソリは奪われたけど、こうして私達も船も無事だったんですから...。」
白いカジート
「私の名はス・イン。傷の手当てをしてやろう。よければ事の経緯を教えてくれないか?」
ス・イン
(メエルーンズのカミソリ......だと?)
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