祭の夜は明け、ソリチュードの街がいつもの生活を始める頃、アンとエリザはメアリの待つノーザンカーディナル号へ向かった。



メアリ
「ようこそ、ノーザンカーディナル号へ!」
TESV 2015-10-20 21-50-25-78

エリザ
「立派な帆船!」

アン
「これ動かすのは一人じゃ無理だね。三人でもキツイかも。」


メアリ
「船室を案内するよ!入って入って!」


三人はまず船長室へ向かった。船員手帳に二人を登録するためだ。ここに名前を書き込むことで正式にノーザンカーディナル号のクルーとなる。

メアリ
「ここがクルーの部屋だよ。ベッドは全部で9つあるから好きなのを使って。私は上の船長室で眠るから夜間何かあったら言ってね。」

アン
「わかったよ。そうだ、キッチンはどこ?朝メシにしようよ。ウィンキングスキーヴァー仕込みの料理の腕、見せてやるからさ。」


三人はアンの作った朝食を食べつつ、今後の船の方針を話し合う事にした。


メアリ
「美味しい!アニーって料理出来たんだね。」

エリザ
「この船の料理長はアニーで決まりですね。」


アン
「料理は任せて。海賊船にいた時もそれに近い事をやってたからね。ただ、元海賊から言わせてもらうとたった三人のクルーで亡霊の海に出るのは命知らず過ぎて冒険にもならないよ。」


メアリ
「それは私も思ってたんだ。船員手帳によればこの船には最大9人のクルーが乗れる。その中で専門技術が必要なのが一等航海士、鍛治師、錬金術師の3つ。」


エリザ
「その中なら一等航海士は必須ですよね。」

アン
「そうだねぇ。私らのにわか仕込みの航海術じゃなくてしっかりと経験を積んだ専門家が欲しいところだね。」


エリザ
「航海士を探すならドーンスターに向かいませんか?ドーンスターはスカイリムで一番賑わっている港だそうです。ここからも一番近い港ですし、船乗りが沢山いれば航海士も見つかるかも。」


メアリ
「いいね。決まり!エリザはそういうとこ詳しくて助かるわぁ。」

そうと決まれば出航準備だ。手馴れた手つきでロープを解いていくアンに教わり、エリザも必死に準備に取り掛かる。その様子を見ながら、メアリは興奮を抑えきれなかった。ついにこの時が来た。自分の船で海に出るのだ。

アン
「準備オーケーだよ!船長!」

頬をなでる潮風と湧き上がる高揚感に一瞬身ぶるいしながらもメアリは叫んだ。


メアリ
「ノーザンカーディナル号、ドーンスターへ向け出航!!」
TESV 2015-10-29 23-12-51-04


アン&エリザ
「アイサー!」
その晩、雪に覆われた漁村ドーンスターに入港したメアリ達。田舎ではあるがソリチュード港とは違い、個人の漁船が多く賑わっている。
TESV 2015-10-27 17-48-13-22

アン
「おー、船がいっぱいとまってるぞ!どうやって探す?」


エリザ
「港町とはいえ漁師がほとんどでしょうから、フリーの航海士となるとすぐには見つからないかも知れませんね。」


メアリ
「大丈夫だよ。私に考えがあるの!」


メアリ達は宿屋ウインドピークに入った。店内は村人と寄港中の船乗り達で賑わっていた。中には海賊まがいの荒くれ者もいる。

メアリ
「みなさーん!ノーザンカーディナル号の船長のメアリです!船のクルーを募集してまーす!我こそはと思う人は手を挙げて下さーい!一緒に亡霊の海を征覇してやろう!」
TESV 2015-10-28 00-12-02-29


客A
「ぷっ!ギャハハハ!!」

客B
「くーっ!はっはっはっ!」


店内を一瞬の静寂が包んだ後、客達は一斉に吹き出した。アンとエリザはやれやれといった顔で、嘲笑にさらされている。


メアリ
「何がおかしいのー!」
想定外の反応に怒りをあらわにするメアリ。すると一人の船乗りが席を立ち、メアリ達に近づいてきた。


船乗り風の男
「いいか、お嬢ちゃん。分からないなら教えてやるが、まず海に女は不吉って相場が決まってて、わざわざ女の船長の船に乗りたがる奴なんていない。それに亡霊の海はあんたらが入っていい場所じゃない。あそこは船乗りにとっちゃ墓場であり、聖域。沈むと分かってる船に乗るバカはいないだろ?」

アン
「随分と言ってくれるじゃん。そういうあんたは船乗りなわけ?」

船乗り風の男
「そんなとこさ。どうだ?あんたらが俺に船を譲るなら、クルーとして雇ってやらなくもないぜ?女は不吉と言ったが美人は大歓迎だ。」


メアリが激昂し反論しようとしたその時、別の客から船乗り風の男へヤジがとんだ。

客A
「引っ込め!この厄病神!お前が船長をやっても沈む未来は一緒だろうが!」
TESV 2015-10-28 00-28-22-03


客B
「姉ちゃんたち騙されんな。こいつは死神イングラスって呼ばれてる有名な奴でな。こいつが乗る船はことごとく沈んじまう、それでいて毎度こいつだけが生き残る。厄病神なのさ。」


客C
「テメェの方こそ、この港からとっとと出て行きやがれ!こっちのツキまで落ちらぁ!」


イングラス
「うるせえ!沈んだのは俺のせいじゃねえ!お前たちは何も知らねぇだろうが!」

エリザ
「酷い言われようですね...。」

メアリ
「本当なの?あの人達の言ってること。」


イングラス
「クソ野郎どもめ...事実は事実さ。邪魔したな。」


男は吐き捨てるように言うと店から出て行った。その後店内は再び賑わいだした。メアリはその男に同情していた。一人だけ生き残る辛さは経験した者にしかわからない。


翌日、ドーンスターを散策するメアリ達。興味を惹かれたのは、漁村には珍しく博物館があるとのこと。メアリ達は早速博物館へ行ってみたが、営業時間外なのか扉には鍵がかかっていた。
TESV 2015-10-28 00-45-11-47


サイラス
「もしかしてお客さんかな?すまないが、まだ準備中でね。オープンはまだ先なんだ。だがせっかく来たんだ。中へ入ってくれて構わないよ。ようこそ深淵の暁教団の博物館へ。」

エリザ
「深遠の暁教団?」



サイラス
「破壊と変化のデイドラの王、メエルーンズ・デイゴンの崇拝者たちだ。我が一族は代々そのメンバーだった。今では長年の過去を隠し、金と影響力を持つ商人になったが歴史における深遠の暁の重要性をスカイリムの民に知って欲しくてな。こうして資料を集め博物館として展示しようというわけだ。さあ、外は冷える中へ入ってくれ。




メアリ達は促されるまま博物館の中へ入った。幾つかの展示箱と壁にはタペストリーが飾られている。深淵の暁とやらのシンボルだろうか。


メアリ
「コレはあなたのコレクションなの?」

エリザ
「深淵の暁とやらに関するものばかりですね。」


サイラス
「私の...いや我々と言った方が正しいな。それよりコレを見てくれ。博物館の目玉にする予定なんだ。」


サイラスは一番奥の展示箱から幾つかの破片を取り出した。何かの武器のようにみえる。

アン
「バラバラじゃん。これは...ダガーか?」


サイラス
「わかるか?コレはメエルーンズのカミソリと言って、約200年もの昔にある者達によって破壊されたデイドラアーティファクトなのだよ。ある冒険者達の協力でその破片をついに揃えたのだ。博物館の目玉にふさわしい逸品だよ。」
TESV 2015-10-28 00-46-47-56


メアリ
「直せないの?壊れたままでも趣きはあるけど。」


サイラス
「デイドラアーティファクトを打ち直せる鍛治師などこのスカイリムにはおらんよ。治せるのはコレを創ったデイドラのみ。つまりメエルーンズ・デイゴンだ。」

エリザ
「それでは修復は絶望的ですね。メエルーンズデイゴンと言えば破壊を司るデイドラの中でも危険な部類ですよ?」


サイラス
「そうでもないさ。この村の少し南の山中にメエルーンズの祠がある。そこにこの破片と鞘を捧げればきっとメエルーンズ様は私の願いを聞き入れてくださる。」


メアリ
「そう上手く行くかなぁ。」


サイラス
「実はこれから祠へ行こうと思っていたんだ。丁度いい。君に護衛を頼もうじゃないか。見たところ君は冒険者なんだろう?メエルーンズ様が何かしてくるとは思わないが万一ということがある。他の二人にはここの番を頼みたい。貴重品が沢山あるのでな。」


メアリ達はサイラスの依頼を聞き入れ、メアリはサイラスとともにメエルーンズの祠を目指した。だが不審な影が密かにその一部始終を見ていたことに彼女達は気づかずにいた。
TESV 2015-10-28 00-54-39-02


サイラス
「着いたぞ。ここだ。この台座に破片を置いて手をかざせばメエルーンズ様は答えてくださる。」
TESV 2015-10-28 23-30-25-10



サイラスの言った通りメアリの頭の中にメエルーンズデイゴンの声が響いてきた。
TESV 2015-10-28 23-58-21-63

メエルーンズ
「定命の者の願いなど知ったことか。だが我を呼び出した代償は払ってもらうぞ。そうだな...お前達どちらかの命を生贄に差し出すのだ。そうすれば我が力を見せてやろう。」
TESV 2015-10-29 00-35-32-06


メアリ
「何言ってんの!村に戻ろ!サイラスさん!破片のままでもいいじゃん!誰も死ぬ必要なんてないよ!」


しかしサイラスの考えは違っていた。


サイラス
「わかってくれ。君に恨みなどない。だが仕方ないんだ!デイゴン様の命令なんだ!」

極限状態に追い込まれたサイラスはメアリを殺そうと襲いかかってきた。ライトニングの魔法を駆使してメアリを攻撃する。


メアリ
「ちょっ...やめて!サイラスさん!落ち着いて!」
しかしサイラスは攻撃の手を緩めない。このままでは本当に殺されてしまう。メアリは嫌々ながらも覚悟を決めた。

ザンッ!

サイラスはメアリの攻撃により息絶えた。今まで戦いの中に身を置いてきたメアリだ。今までに幾人もの敵を葬ってきた彼女だが今回ばかりは憤りを感じずにはいられなかった。

メエルーンズ
「面白い見せ物だったぞ。受け取れ。それを使ってタムリエルに破滅をもたらすのだ。」
TESV 2015-10-29 00-03-38-50


メアリ
「サイラスさんの博物館にアーティファクトは届ける。あんたなんかの思い通りにはならない!」


メエルーンズ
「随分な口をきく。お前の哀れな自尊心などどうでもいいが、お前は我の道具に過ぎん。そのことを忘れるな。ちょっと待て。定命の者よ。最後に一つ課題を与えようか。ははは。」

メエルーンズはメアリを見下すように笑った。すると次元にひずみが生じ、二体のドレモラが召喚された。

ドレモラ
「そのまま帰れるとでも思ったか?定命の者よ。」

ドレモラ
「デイゴン様は始めから二人とも生かして帰すつもりなどないわ。」


メアリ
「これがあなた達のやり方...許せない!!」

初めて目にしたデイドラによる人間への理不尽な扱い。自分たちが必死に生きているのをあざ笑うかのような仕打ちに我慢のならないメアリは、メエルーンズのカミソリを手に取り、ドレモラ達に戦いを挑んだ。
しかし相手はデイドラの眷族ドレモラ、しかも二体だ。メアリの敗北は次第に色濃くなっていった。その時物陰からことの成り行きを見守っていた影が正体を現した。



???
「見てらんねえ!助太刀するぜ!」

メアリ
「疫病神さん!どうしてこんなところに!」


インガルス
「疫病神さんって...あー!どうでもいい!今は目の前の敵だ。一体は俺がやる!お前はもう一体だ!」
TESV 2015-10-29 00-10-02-15

ドレモラ
「ぐっ!定命の者にこんな力が...!?」

メアリとインガルスは即席の連携でドレモラを撃退した。

インガルス
「イッテ...あんた強いな。見なおしたぜ。」

メアリ
「こっちこそ。2対1じゃ勝てなかったかも。助けてくれてありがと。疫病神さんは何でここに?」


インガルス
「え?あー...っと金のため...かな。メエルーンズのカミソリが修復されたらそれを奪おうと思ってあんた達の後をつけたんだ。それと!俺の名はインガルス!"夢追いのインガルス"で通ってる。疫病神じゃねえ。」


メアリ
「ホントに~?"夢追い"かぁ...私と一緒だね!でも何で助けてくれたの?カミソリが欲しかったなら、私が死んだ後に持ち帰ればよかったのに。」

インガルス
「思い出しちまったんだよ。昔...亡霊の海で怪物に襲われて船が沈没した時、仲間を助けられなかった無力な自分をな。あの状況で黙ってるなんて出来なかったんだ。」
TESV 2015-10-29 00-28-01-59


メアリ
「そっか!何にせよありがと!村に戻ろ!"夢追い"さん。」


メアリは微笑みインガルスに手を差し伸べた。だがドーンスターへ戻った二人を待っていたのは村人達の予想外の反応だった。





~主な使用MOD~


Ingarth the Starry-Eyed - Nord Male Follower



RE Pirate